2013年9月23日月曜日

(((おんがく目レキシ科))) ロカビリー誕生 その六 ブギウギ

その五までは主に白人音楽に関しての情報でしたが、今回からはさらに重要な黒人音楽について書いていこうと思います。
と言っても、調べれば調べる程あらゆる国・人種のあらゆる音楽がお互いに繋がり混ざりあっていて「黒人音楽」「白人音楽」「混血音楽」etc... と書いて行くのがそもそもナンセンスな感も否めないですが。。

まぁ、その辺はのちのち書いて行くとして。
今日はロックンロールにも直接的影響を与えているブギウギについてです。
切り口はロカビリーですので、その一で載せたフローチャートをもう一度。



ロカビリーに影響を与えた黒人音楽は様々ありますが、もちろんそれぞれの音楽にも成り立ちがあります。



ブギウギを語る上で、切っても切りはなせないのは"ラグタイム"と"ブルース"です。
ラグタイムは主に1897年〜1918年に流行した音楽で、特徴はシンコペーションリズム。


St. Louis(ミズーリ州)やNew Orleans(ルイジアナ州)のアフリカ系アメリカ人のコミュニティーでダンス音楽として始まった音楽で、Ernest Hoganという人がこのジャンルの確立に尽力した様です。



ん〜。さすがに音源がみつからないので。。
Ernest Hoganが書いた"La Pas Ma La"を演奏するRagtime Skedaddlersの映像を。

1899年にJohn Philipが発表した"Maple Leaf Rag"は聴いたことがある方も多いのではないでしょうか?

アフリカンミュージック特有のポリリズムとなまり感が、ヨーロッパの音楽とは違う雰囲気ですよね。リズムが遅れた感じで聴こえるのでRag(タイムラグのラグ)という言葉が付けられたようです。
ただし、ラグタイムは後のジャズとは違って楽譜がきちんとあってその通りに演奏するのが基本というクラシック音楽の系譜を踏んでいます。
そしてラグタイム自体は、1918年以降1970年代にリバイバルブームが来るまで陰を潜めてしまいます。。地道に続けていた人もいたようですが。


さてさてラグタイムのこのちょっと小綺麗な感じが、そのまま当時の南部黒人の心にフィットするか?と言われると「いやいや〜物足りないでしょ!」と思ってしまうのは当時の様子を妄想中の私だけではないはず!?

やはり、ラグタイムが発生した直後から、南部黒人の民族音楽とも言えるブルースと混ざり合い泥臭く人間臭いピアノスタイルが産まれてきます。
“バレルハウス” “ホンキートンク” という安酒場ではボロボロのピアノをガンガン叩く様に弾くスタイルが生まれ、それがそのまま“バレルハウス・ピアノ” “ホンキートンク・ピアノ”と呼ばれる様になり、まさにそれがブギウギピアノになるわけです。

エアガレージ講師の荒井伝太氏、酒場ではなく地下スタジオで調子っぱずれのピアノを弾く。

1920年代にはシカゴにブギウギピアニストが集まります。シカゴではアパートの家賃の払えない人がブギピアニストを傭いパーティを開いてその会費の上がりを家賃に当てる習慣があり(ハウス・レント・パーティと言います)、そのパーティで腕を磨いたピアニストも多数居ました。

その一人Pinetop Smithの "Pinetop's Boogie Woogie"(1928)


この曲で初めてブギウギという言葉が使われたとされています。


長文になってしまったので、今日はこの辺で。おつきあいアリガトウゴザイマス

つづく。


参考図書:中村とうよう著 "大衆音楽の真実"
参照サイト wiki http://en.wikipedia.org/wiki/Ragtime


おぐ

バックナンバー
1. ロカビリー誕生イントロ
2. ヒルビリー
3. スライドギター
4. ウエスタン・スウィング(戦前)
5. ウエスタン・スウィング(戦後)




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